2008年2月24日日曜日

流れる言(こと)からすくうのもの(者)・・・

同期が選択研修で行っためぐみ在宅クリニックがNHKに出ると紹介されて
NHKスペシャル「最期の願いをかなえたい~在宅でがんを看(み)取る~」をみた。


訪問時、小澤医師は少なくとも30分は患者・家族と会話する姿勢に驚いた
そのときの詳細な会話が記録されていてまた驚いた

後に、看護師が傍らで記録しているシーンがあり納得

記録の中に刻まれた不安…苦しみ…
その会話分析をする姿勢は緩和ケア医として霊的な痛みを取り除くための読影に見えた


○夫を気遣う癌の末期の女性の“痛み”
「夫が楽をしていない。ずっと働き通し…」との言葉

『家族に迷惑をかけたくないという苦しみは大きい。苦しみの中でも大きな苦しみのひとつ…』と小澤先生は述べていた
苦しみを口にされたとき、それに真摯に向き合うことが家庭医に求められていると実感

その後の訪問で、彼女は訥々と語りだした
「…昨日はね、私、夜はほとんど一生懸命自殺の仕方考えてたの」
「こういう風にすれば完全に死ねるな…って」
「もうそろそろしなきゃいけないなって思うの。違う?違う?」
「人の面倒は見ても、人に面倒見られるのはイヤ」
霊的な痛みのこもった言葉

訪問入浴をきっかけに徐々に生きる力を取り戻す様が映されていた
残された希望を大切にかなえることが、痛みを和らげた様だった


○30代の胃癌末期の患者
毎回お洒落をする彼に、孤独の苦しみを感じた小澤先生

実は両親もどう接して良いのかわからないで悩んでいた
当初、在宅緩和を選択した彼にたいして、両親は積極的治療を希望していた

治療方針で食い違った経緯
近づこうとするほど遠い関係になっていた

『患者と患者を看る家族が気持ちが通じ合っているわけではない…』と小澤先生
『気遣いや遠慮が関係を難しくしている…』と

もちろん親としても子を失う苦しみを抱えていた…からこその積極的治療
当初は死の宣告を甘んじて受けた…と憤りを感じていた両親が、
彼の死後、「誇りを持って生きた」と語っていたのが印象的だった

痛みや苦しみに真摯に向き合う医師
その関係性から生み出される時間と、その先の癒しを垣間見た

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