2009年3月10日火曜日

京都で家庭医療のポートフォリオの学び

先週末に8名の後期研修医のポートフォリオの発表が京都でありました。
どれも家庭医療らしく、涙を誘われたものもありました。

印象に残ったことは3点です。
1.ポートフォリオが家庭医のモチベーションを維持する
2.ポートフォリオのフォーマット整備が家庭医療の学びを深める
3.レジデントで集まる場が大切


1.ポートフォリオが学びを促進する

 とある循環器科研修中の研修医の発表で、disease中心のプレゼンが進み、『医学的なもので終わりかな~』と思ってみていたところ、

「そういえば、家庭医療後期研修医だった」

 という一枚のスライドがあり、その後illnessのプレゼン、BioPsycoSocialアプローチがとられたポートフォリオ発表になりました。
会場が笑いに包まれ、そしてその先生の奮闘振りに敬意を持って質疑が進みました。

 質疑で「院内での家庭医療レジデントでの定期の集まりと、この発表の機会があることがモチベーションになった」という発言がありました。
普段は専門研修で忘れがちなモチベーションを保つためのポートフォリオになっていたんだな~と気づきました。


2.ポートフォリオのフォーマットの整備が家庭医療の学びを深める

 在宅ターミナル、家族会議、患者中心の医療の方法、医師患者関係、入院→在宅への取り組み
など、重要なテーマ・ストーリーが目白押しでした。

 それぞれの紹介で、ADLならDEATH、illnessならFIFAなど、PCCMならコンポーネントの何に当たるのか・・・など発表のフォーマットがある程度統一されている、でもまだバラバラな印象を持ちました。

 患者さんの個別性もあり、ポートフォリオのフォーマットが統一されることはないのでしょうが、
・illnessの紹介はFIFAだけでいいのか?
・家族会議なら必ず仮説をプレゼンしたほうがいいだろうか?
・患者医師関係をプレゼンするときに、自己認識や自己変容をどのようにプレゼンすればいいのか?
・・・
などを学び・洗練することが家庭らしい学びを深めるのではないかと思ってみていました。

 患者さんやイベントとの出会いの中で、家庭医的な学びを深め、それを消化し結晶化するポートフォリオを目指したいと思いました。


3.レジデントで集まる場が大切

 こういったレジデントが集合する場の力の大きさを感じました。
日本各地で、そして冬期セミナー誕生した各コミュニティーの場で、モチベーションを維持し、学びを交流し、家庭医としての成長をレジデントが中心となって進める場がたくさんできるといいな~と思いました。