2009年9月8日火曜日

知ったからこそ、それがはじまり

外来中には様々な自己洞察や自己認識が訪れますが、
大切なのは、「洞察してどう言動するか、認識してどう言動できるか」
だと最近感じています

外来には大切な相手がいますので…

何も言わない、何もしないという選択もありますが、
それを意識的に選んでいるかというと…不確かであります
悪影響を最小限にすることが精一杯のときも…あります
特に自分の倫理感や正義とぶつかるものと出合った時、とても試されます

少ない経験を振り返って、難しい局面では
・情報収集から理解を深める
・全く異なる視点で外来のゴールを再設定する
・共通点を探し関心を復活させる
などが有効でした

これが自在なのがプロなのでしょうか?

感情の揺れがふと訪れても、
それが互いに心地よいゆらぎに変化する外来ケアを提供できる

そんなプロの自然体っていいですね~

2009年9月6日日曜日

只只過ごす、日日是好日と感じ


本州最西端の山口県の東部に周南市という街があります
かつての徳山市と聞いたほうが馴染みがあるかもしれません
今でも新幹線の駅は「徳山」になっています

その徳山駅から南に徒歩5分で徳山港があります
石油コンビナートが立ち並び忙しくクレーンが動く一方で、静かな海面に琵琶湖の穏やかさを思い出します

ここは水深が深いため天然の良港として、戦前には日本海軍燃料廠が置かれ、戦艦大和の沖縄特攻作戦にあたり本土最後の燃料補給地となった(wikipedia"徳山市"より)そうです


その沖合いに大津島があり
そこで、この夏の休暇を過ごしました


きっかけは昨年の夏にベネッセアートサイト直島に行った事でした
地中美術館では明るい教会のような静けさと、切り取られた空の美しさに魅せられ、
生活の場にアートが溶け込んでいる家プロジェクトではわくわくがピークになりました

今までは小笠原、八重山、屋久島などで泳いだり登ったりと体を動かす遠くの島旅を好んでいましたが、
家族もできたし、静かに心が動き楽しむ島旅がいいな~と思い直したからです

その直島で見た雑誌に、大津島の宿・只只のことが書いてあり
『来年はここ!!』と決めていました


大津島は高齢化の進んだ小さな島で、
直島のような大きな産業もなく美術館もプロジェクトもありません

大津島には回天という人間魚雷の基地と只只という宿があるだけのように見えました
島の人はどんな生活をしているかが見えなくて残念でした


たった一泊二日でしたが、
かつての戦争とその時代を生きた人たちのことを考え、
この夏に経験したillnessをメタに振り帰ったり、
生きることの意味深さを静かに味わう時間になりました

宿ができる歴史を辿って共感しました

仕事をバリバリしていた地元の社長さんが、大病を患い、大津島を訪れ回天の基地を訪問し、
そして人生を考え直して建てた宿だそうです

この夏に経験したillnessはまさにこのオーナーさんの追体験のようでした

人の唯一無二の人生に重ね合わせるのは申し訳ありませんが、
只只に宿る温かさと静けさは、島をenjoy!!という色合いではなかったのです


辛いことがあっても、悩むことがあっても、
それを良き日と、充実した人生と受け入れながら生きることの大切さ

本当に大切なものを見定めて、それを大切にして生きる素晴らしさ


まだまだ修行が足りませんが、少しまとめて考えることの出来た島でした