2013年5月10日金曜日

恩師の最終講義

衣笠塾という塾に、大学2年生から卒業まで通っていました。
そこでは滋賀や京都の医学生等が集まり、医療についての様々なテーマで早川一光先生と座談会をするという場でした。

一年生の時の医学概論でその塾の師である早川先生とはお会いしていたのですが、
関わりが始まったのは、その一年後。「松井さん、早川先生の所に一緒に行きませんか?」と一年生のFさんが声をかけてくれたことがきっかけでした。

月一回土曜日の夜に衣笠までFさんのスカイラインに乗せてもらい、
元気について、命について、生き方について、死についてなどいまから思うと哲学的な話をしていたように記憶しています。

丁度美山診療所の立ち上げの時期でもあり、一緒に美山町のイベントに参加したり、
京都の他の開業医の先生との勉強会に参加したりもしていました。

その後FPIG関西の前身となった勉強会にもなりました。
懐かしや・・・。

その早川先生の医学概論が今年の4月18日で最後と言う連絡をもらいました。
可能であれば是非参加をとのことで、訪問診療のスケジュールを調整して参加してきました。

・誰か助けを求められたら「僕が行く!」という精神が重要
・医療者は手を大切に
・医の道、看護の道によく来た! 遠くから眺める富士は美しいが登ってみると岩場でジグザク、しかも医と看護の山には頂上がない
・医業はsymphoniesの時代
・医学を総合人間学(哲学文学音楽宗教)の中に組み込もう
・町衆の生活の中に医療がある
・命のはかなさ、一瞬だからこそ大切に
などなど、久しぶりの語りに「衣笠塾ってこんな感じだったな~」と当時を思い出しました。
家庭医を知る前の自分が、家庭医療という概念と出会った時の衝撃やキャリアへのあこがれは、
この語りや衣笠塾でのDiscussionで形成されてきた気がしました。

そしてサプライズ!
琵琶奏者の方を連れてこられ、「平家物語」と「雨にも負けず」が演奏されました
初めて琵琶演奏を聴きましたが講義室に響き渡る大迫力でした

演奏を聴いている早川先生からは、
何かを伝えたい、何かを届けたい。それは一人ひとり違ってもいいよ
でもこの音から命を、医療の本質を感じてほしいという佇まいを感じました

まさかの最終講義で寂しい気持ちもありましたが、
その場に居合わせることができ、また自分の持ち場でコツコツ頑張ろうという気持ちになりました