2009年4月18日土曜日

北海道家庭医療学センターの強みの3つ のうちの1つ

最近進路について悩んでいます
そんな中で、たまたまメールで案内が来ていた内容がFitして、
『「見どころのある部下」支援法』という本を買いました

目次に惹かれて早速読んでみました

著者は、神戸大学大学院経営学研究科を卒業された方で、
あの金井壽宏先生に師事した谷口智彦先生です。なるほどその流れを感じる内容でした。
(名著「経験からの学習」を書いた小樽の松尾先生も神戸大学大学院経営学研究科に移られました
 今神戸がアツいです。)


どちらかというと上司・管理者向けの本なので、
followerやresident向けではないのかもしれません・・・


読んではっとしたのは、
2章:リーダーを育む「8つの経験」という分類があり、
そのほとんどを北海道家庭医療学センターのstaff/fellowの先生方が経験されていることでした

その8つとは、
1初期の仕事経験
2上司から学ぶ経験
3人事異動の経験
4プロジェクト型の仕事経験
5管理職になる経験
6海外勤務経験
7立ち上げ経験
8修羅場の経験
です

1初期の仕事経験とは、おそらく室蘭でのHalf Day Backの日々
家庭医としての姿勢や視点を身につけた時期

3の移動はまさにHCFMの後期研修を特徴付けている多彩な場での学び
所違えば文化も違い、その中で醸成される、診断推論、ものの見え方、柔軟な適応方法などの吸収

4のProjectも常に存在していますし、
5の管理職経験も、一般社会と比較すると早いくらいのタイミングで積んでおられます(この業界が早いのですが・・・)

7の立ち上げも更別、寿都、そして上川と順を追って進んでいます
当初は大きなストレスもあったでしょうが、混沌の中でポイントが整理され、ノウハウが蓄積され、
組織の知になっているように想像します

8は最近のは記憶に新しいですが、きっと時々にあったはず・・・
特に、修羅場とまでいかないにしても、
後期研修医としてもっとも『すごいな~』感じるのが、
「3人体制の残り2人が次々と交代する中でパフォーマンスを落とさないポテンシャル」の強さ
です
これは大小様々の内的や外的なConflictがあるはずです

そう思うと、HCFMには内外のリーダーを育てる土壌があったんですね・・・


そして、それらを経て現在進行形で積んでいるリーダーが複数居るからこそ、
今の世代には安全な学習環境や、サイト内での正統的周辺参加が可能になっているのかもしれません

かつては危険と隣り合わせの学習環境&非正統的(いきなり)中心参加(そんな言葉は無いですが)だったんでしょうね・・・


そして、12年のHCFMの歴史の中で、
(自分のこの4年ちょっとを振り返ってみても、)

1初期の仕事経験
2上司から学ぶ経験
3人事異動の経験
4プロジェクト型の仕事経験
5管理職になる経験
6海外勤務経験
7立ち上げ経験
8修羅場の経験

の2「上司から学ぶ経験」、4「プロジェクトから学ぶ経験」のボリュームが以前より増えていることを感じます

常に甘んじては成長がないと思いますが、上司のDeep Smartを伝え聞くこと、感じ取ることは大きな糧になっています

最近チーフレジデントとして会議に参加していると、夏の日差しのようにもろに感じます


その環境の中で、自分なりの情熱と創造性を持ちながら、
共に働くこのできる場がある研修であることが強みだと感じとりました

2009年4月14日火曜日

3年目の春、十勝の“広さ”と“はやさ”

とうとう後期研修も3年目を迎えました・・・
今のプログラムでは最後の一年になります

赴任先は十勝のどんぐり診療所
診療所HP:http://www.sarabetsu.jp/sinryousyo/
診療所ブログ:http://blog.livedoor.jp/sarabetsu2001/

札幌と比べて、大地も空も広いです
爽快な気分でここ2週間を過ごせています

環境って大切ですね・・・


ここで二番手として働くことになりました

一昨年は一番下っ端で働いていましたが、
今年は立場も責任も異なる感覚で診療所にいます


それを改めて痛感したのが、先週の外来でした
一人で今までの倍以上の数を午前も午後も診療しました
しかも時間内に・・・

初期研修医のころは、半日で4人診るだけで汗をかき、
カルテを書くのも遅くまでかかっていたのに・・・


北部東京の藤沼先生が紹介されていたと聞いた、
“Routine, ceremony, drama”のように
指導医の先生がおっしゃった
“濃淡”のように
外来が進む感覚を初めて少し覚えました


赴任直後は電子カルテにも慣れず、
持っても仕方のない陰性感情を抱いてしまう瞬間もありましたが、
解消して、陰性感情に気づくcheck pointも構築して外来に臨めています

この順応もサイトを転々としてきたからこそ得られたものかもしれません
環境が変わった直後は悔しいくらいにパフォーマンスが落ちることと向き合ってきたので、
どう工夫すれば慣れるのかには必死です・・・


そう考えると、初期から今までの教育環境は素振りだったり、練習試合だったのかもしれません
特に後期研修の1年目は安全と挑戦を兼ね備えたありがたい環境でした

そのなかで実戦に向かったときに“はやく”なるためのものができつつあったことを実感しました


その“はやさ”の中だからこそ、
家庭医らしいと思える瞬間があると、
乾いたのどへのビールのように心地いいです