2013年1月20日日曜日

AwayがHomeになる良さ

今週はちょっとハード
経営面での課題がいくつか浮上し、抱えている困難事例も山場を迎えた週でした

そんな中、水曜日は午前の滋賀医大のいつもの講義だけでなく、
夜は病院と地域の緩和ケア・在宅医療にかかわる職種の皆さんが集う湖北緩和ケア・在宅医療研究会でWSを行ってきました

テーマは「退院前カンファレンス」
8職種のシナリオを作成して、ロールプレイとその振り返りを行いました

メッセージとしては、
・医療やケアが進化と同時に分断しつつあるからこそ統合と協働が必要
・チーム医療の概念を「院内から外のコミュニティ」に再定義する必要性
・そのための他者理解と尊重が大切
の3つで、ロールプレイを通して他者理解が進んだ時間でした

参加して下さったメンバーのアドリブと協力がなければ上手くいかなかったので感謝です


そして土曜日は一般医と精神科医との連携推進研修会で、
地域の開業医の先生方と精神科の先生方(5名!!)の前で事例のプレゼンをしました

プレゼンをいくつか区切り、途中途中でディスカッションするという学びの多い形式でした
色々Positiveなコメントも頂けて安堵
家庭医らしいContextual Careの事例だったので開業医の先生からも共感をもらえました~

今週は
・緩和医療や在宅医療に関わる多職種の場
・メンタルヘルスに関わる一般医と精神科医の集まる場
といずれも初めての舞台でAway感があり緊張もしましたが、いずれこの場がHomeになると良いだろうな~という感覚が得られました

普段働いている診療所だけで医療やケアは完結せず、
地理的な地域や人と人とのつながりの中で提供されると良いなと思いました
そのための土壌づくりのような時間だったかもしれません…

AwayをHomeにする
家庭医には必要な日々の取り組みかもしれません…

そう思うと滋賀医大の講義も大分Homeっぽくなってきました
来年度は4年生にも講義の枠をたくさん(6コマも!!)頂けたので頑張ります!!

2012年11月25日日曜日

そのワークショップは誰のもの?

この週末は、岡山家庭医療学センター(FPCO)の2012合宿の講師をさせて頂きました。

頂いたテーマは「EBM」
なぜ私に??という疑問もわきつつ、これは意味がある機会と捉え5+1モデルの実践と意気込み、
いつものように大量ダウンロードと主題とリズムを漬け込んで、
それでも間に合わなくて親友の特大サポートを得て準備できました。

EBMって不思議な切り口で、
患者中心の医療の方法の実践の(特に共通の理解基盤を見出すための)要でもあり、
家庭医としての(多様な価値観や不確実性への)寛容さを涵養するものであり、
そのヒエラルキーの6S(昔は4S)で考えると、組織としての実践環境も重要で…
自己変容学習から組織学習を貫くテーマになっていました。

組織構造や経営形態からFPCOは個人的に親近感や親和性の高い組織で、
実際働いている皆さんも、滋賀医大の先輩や滋賀の先輩、昔からの知り合いや馴染みの先生が多く、Awayではなく、非常にHomeな感じで講演ができました。

プレゼンやファシリをしながら一番感じたのは、これは「松井の講演」ではないな~という感覚でした。
もちろんストーリーや演出、表現方法は自分オリジナルであったとしても、
コンテンツや語る立場は、親友のものだったり、所属している組織のものだったり・・・
過去の家庭医療の重鎮のideaだったり…

キュレーションWSという言葉があればぴったりかも


そう思うと「組織に所属している」って、
非常に重要で重みがあって意味があることですね
もちろん「ソロ活動」も重要で重みがあって意味があるのですが・・・
一人ではできない仕事をさせてもらえています

一人ではできない語りを、代表で話している感覚を今回は経験できたからこその気づきです

それにしてもFPCOの雰囲気は最高ですね~

後期研修医からトップレベルの指導医まで幅広い対象でしたが、
どなたもとっても前向きでMoodの良いチームでした

これからも多方面でFPCO×HCFMの交流が続き発展していけばと祈っています!!! 

2012年11月18日日曜日

大切なメッセージや思いだからこそ、そのCueは小さい



今日は途中から怒涛の午前外来のあと、
市民公開講座「自分らしい最期を、地域で考える」にシンポジストとして参加しました。
熱い病院の先生と優しい訪問看護師さんとのコラボは非常に楽しかったです。
支援して下さった長浜保健所のスタッフの方々には感謝でいっぱいです。


市民公開講座の座談会では部屋いっぱいの40名ほどの市民や医療福祉関係者の方々からの質問・コメントが非常に勉強になりました。


その後、後方支援病院との地域医療意見交換会に出席。
普段お世話になっている専門医の先生方や地域の開業医の先生方、病院の連携室のスタッフの皆さんと普段できない雰囲気での会話ができました。
この半年ちょっとで少し顔の見えるつながりが増えたことも実感できるひと時でした。


そして家族とお風呂に入り、娘に絵本を読んで寝かしつけて、skypeでキャリアメンタリングをしました。「未来に幸あれ」と願いつつ、この道に入る時の思いや悩みに共感しつつ大切なメッセージを届ける時間になりました。



今日いろんな場面で、いくつか偶然に繰り返されたPearlは

「大切なメッセージや思いだからこそ、そのCueは小さい」

です。


それを拾って扱えるか・気づくかがコミュニケーションではとても大切だと感じました。

昨日の振り返りで、それを拾えておらず痛い目にあったと思ったので、
今日は些細な一言の意味深さを感じやすかったのかも知れません・・・

今日は(本当は昨日も、明日も)何気ないほんのちょっとした一言に、珠玉のメッセージが含まれていました

2012年10月11日木曜日

滋賀医大の講義の反復の中で感じたこと。


今日は久々の滋賀医大の講義でした。

いつものように家庭医とは、家庭医療とはは一切語らず、事例を選んでもらって2Caseのプレゼン×ディスカッションをしました。

以下学生さんが講義で感じた「家庭医に必要な能力とその理由」です。
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・今までは家庭医は訪問して、いつもの処方してということの繰り返しで、家庭医に行く分患者さんに密着しているとは思っていましたが、ここまで考えて仕事をしているとは思いませんでした。患者さんそれぞれにストーリーがあって、疾患だけを見るのではなく、背景も見る、むしろ背景のほうが重要視されているんではないかと思いました。家庭医に必要なのは医師でありながらも、その人に隠された背景を読みとったり、入り込めるような人として才能も大切なのかなと思いました。なぜなら家庭医は患者さんや家族に信頼されることが第一歩だと感じたからです。そのためには患者さんのことを知らなければいけないし、そういった人柄であることが一番大切だと思いました。

・単に臨床能力だけではなく、患者さんや家族と良好な関係を維持するコミュニケーション能力(関係を作ったり、保ったり、医師患者関係を崩さない)が家庭医には必要だと思います。プロとして良好な関係を保つというのは、患者を治療するうえで必要なことですし、また一線を引いて自分を守る上でも大切だと思います。

・家庭医は病院にいる医師よりもさらに「患者に寄り添う」「患者の人生に関わる」要素が多くなる医師だと感じました。もちろんどこにいても大切なことですが、家庭医は具体的に実際にその患者さんの人となりを知って生活を知って、また家族をとりまく環境も知ることで、その患者さんにあったゴールを考えることができる、考えてしまわざるを得ない状況にいることができるんだと思いました。だからこそ、患者さん一人ひとりにあった方法を考えるために医学的知識を十分持っている必要があるし、またそういった患者さんの人生に関わるといった覚悟も必要だと感じました。また患者さんだけでなく、家族のケアというのも家庭医のすることなのかなと感じました。またこれだけ関わってくると、自分の精神面にも負担が来ることも多いと思うので、どこかで線引きをすることも大事だし、息抜きも大切だと思いました。家庭医になるには、人間的にも成長するのが大事だなと思いました。

・幅広い医学的知識を持つことが前提としてまずあると思う。それがないと今日行ったようなディスカッションは行えないと思った。その上で単に疾患を治療するということだけでなく、患者さんの生活背景やキャラクター、家族などの周囲の取り巻く環境を加味して、最善を判断する能力が必要だと感じた。なぜなら基礎なる知識がないと何もできないし、患者さんの生活に触れて考えることが多いと感じたから。

・老若男女問わず、幅広い疾患に対応できる臨床能力(とそれを得ようと日々努力する)・姿勢が最低限必要。そのうえで患者さんの考え方や生活背景などもふくめて、バランスのよい視点を持って診療に当たらなければならないと感じた。現状では専門医志向が強く、家庭医を最初から志すにはスタンダードとは言い難いので、その分野で一人前になるには、他人とは異なる道を歩むバイタリティや向上心、意思の強さも重要かもしれない。
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講義も3回目で、過去2階よりも場に没頭と俯瞰のバランスを持ちながら、柔軟に展開できるようになってきた感覚があります。

また、今日はより一層ローテ済の科や前日等の直近の臨床実習の影響があることも把握できたので、それらを確認したり、まだ研修してない科の内容でイメージしにくい事例であればもう少し写真や解説で前提の共有をもう少し手厚くしたいという課題も発見できました。

あと難しかったのは、「家庭医=性格や才能」扱いかな。
「外科=器用」ではなく、トレーニングで誰もがなれるし、確かに向き不向きはあっても、性格や才能ではないという話を図書館から書籍や文献を集めて最後にお話したのですが、いくつかの要素が重なって、やや力不足でした。

難しい医師患者関係、今の日本では一般的にスタンダードでないキャリアを選ぶという困難、地域での住民や行政との対立で医師が去ることになったニュースについての質問などがあり、家庭医の良いところだけでなく、大変なところ、深い部分、プロとしての厳しさにも関心が集まってよかったです。

学生の皆さん、Deepな事例と議論を3時間お疲れ様でした。

2012年9月20日木曜日

アウェイでのプレゼン&ディスカッションはホームで生きる


湖北医師会の一般医・精神科医連携推進会議に委員として出席してきました


今日は医師会員向けの勉強会の準備として、
一般医の委員が経験したCaseを精神科医の先生方にコメントやFeedbackしてもらってPearlを集める時間でした

その場で経験しているCaseをドキドキでプレゼンしました

普通のCaseと思っていたのですが、
「非常に幅広く丁寧に見ているのが伝わってきた」
「先生の視点や姿勢を若い精神科の先生にも伝えたい」と、
(妻によく注意される”気を遣って言ってもらえている御世辞で真に受けるとかっこ悪いよ”だったにしても)
有難いFeedbackをいただきました(T_T)

家庭医療と精神科とが共通している生物心理社会モデルつながりって
(全員がそうでないにしても一部同士で)あるのかもしれませんね…
同期・先輩・後輩みてもキャリア移行が隣り合っている気がしますし・・・

議論のポイントとしては(会員向けに)悲嘆やライフイベントによる鬱反応なのか大うつ病なのか?安易なSSRIの処方でないか?に設定したところ、

「DSMを丁寧に使って大うつと診断しているので、そうであれば悲嘆やライフイベントによる反応であっても大うつ病の診断としてSSRIの処方は妥当」
「確かに処方なしでも経過が見れたかもしれないが、この人のベースにある不安に対してこの種のSSRIが効いたと考えられる」
などと議論が盛り上がり大変勉強になり、リアルTFCみたいな感じの時間でした

耳学問だからこそ学べること、新たな視点も数多くあり、
専門医の先生方とのコミュニケーションにおいて勇気や意味をもらえた時間でした

緊張しましたが、自分の臨床の評価と患者さんのケアのためには大切な時間になりました

今日までの経験と指導や研修にも感謝です・・・

2012年9月9日日曜日

福岡の学会の振り返り

学生時代ぶりに福岡に行きました。
福岡はテニス部幹部時代の西医体等で甘苦い思い出がある地です。

今回は第3回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会の開催地!!


行きは同僚と九州新幹線デビュー。
いつも一緒にお酒を飲めないシフトなので、この時ばかりは新幹線でビール!(おっちゃんスタイルです(・_・;))

AMEE(欧州医学教育学会)帰りホヤホヤの時差ぼけ状態のはずなのに、
米原⇒博多までずっとAMEE報告漬けでした!!
AMEEすごい。そして3時間延々と報告できる同僚はさらにすごい。
(実は新幹線でいろいろ仕事する予定だったのですが、大興奮で聞いてしまいました。抱えている仕事やProjectにすぐ生かせそうな学びが満載でお得な時間でした。)


さて、今回の学会は非常に歴史的な意味があると感じられる学会でした。
プライマリ・ケア、家庭医療、総合診療の3学会が合併して約2年半。
理事長・理事が新体制となり、導入の混乱期から成長期の入口が見えそうなフェーズに感じられ、特に学会の理事長が大会長というめぐり合わせの学術大会となり、そのコンセプトが非常に明快でした。

随所に、学会を過去と未来の歴史の中に再び位置づけ、医療全体の中で相対化させて意味づけするような連携プログラムが数多くあり、丸山先生と実行委員会・理事会の皆様のコラボレーション力を感じました。

それにしても病院総合診療学会幹部との対話の場はすごくドキドキとでもすごく感謝を覚える場でした。万難を排して、お互いの力を合わせるパートナーへの道を進んでいってほしいと感じました。


今回の仕事ですが、
1.指導医講習会(サブ)講師
2.家庭医の熟達化研究(第一報)発表
3.初のポスター発表座長
4.80大学行脚Projectインタレストグループ企画・運営


1.指導医講習会では、研修医指導のためのシナリオづくりと当日のやりとりに参加しました。
70名の参加者の皆さんの参加度や良い反応に励まされつつ、こういった場を提供することの重要性を非常に感じました。今後は生涯教育委員会のタスクとしても現指導医のための学びの場を提供して、学会の指導医のための学びの場づくりに携われたらと思いました。

2.熟達化研究の発表では、この研究にご協力頂いた雨森先生、HCFMの先輩方、そしてご指導いただいている松尾先生に感謝しつつ、やっと形になったうれしさを込めてプレゼンしました。科研費の可能性や、組織特性からの熟達化について、家庭医のライフサイクルとの関連についてなどたくさんの質問やコメントを頂き、今行っている二次調査やこれから行う予定の共同研究にも弾みが付きました。年内の論文化を目指してあとはコツコツと頑張ります。

3.の座長は非常によい経験をしました。それは「偶然の役割からの学び」です。
初座長で緊張しましたが、タイムマネージメントとフロアからの質問が無いとき用の質問の準備を全5演題で行いました。そして、座長にならなければ聞けなかったポスター発表から、いろんな示唆やヒントや学びをもらうことができました。
印象に残ったのは、実践発表の重要性、何気ない臨床の疑問の検証を形にすること、そして自治医大五十嵐教室の先生たちの研究に流れる哲学です。

4.は感動の一時間でした。丁寧に準備を進めてきたのと、いろんな人といろんなアイディアがぎゅっと凝縮されたのと、当日の円卓に集まった人たちの声でいい場になりました。
行脚プロジェクトは、医学生さんが家庭医・総合医に最初に出会う場にもなっており、今後も世代を超え、形を変え、続いて行ってほしいProjectなので、そのためのいろんなきっかけをもらうことができました。

生涯教育委員会の会議もあって忙しくも充実した福岡でしたが、
HCFMの同窓会や夏季セミナーに出会った学生さんたちなど、多くの方との再会も楽しく過ごすことができました。

2012年8月27日月曜日

小さなコミュニティの多死化社会にどう対応するか?


早朝の施設看取りのあと、施設勤務の看護師さんと振り返り。
ここ数年で看取りが上昇していると。

実際のデータでも各年度の死亡者が、H18~H21年度は20名以下、H22年から20名以上に増加。今年度は4月から今日で既に20名弱。

看護師さんからは、
「入所時に死ぬことを話題にできていない」
「最近平均して2~4名が急性期や終末期のケアでスタッフ(特に夜間)の負担増」
「食事できないと、どうしてもルーチンで点滴になってしまう傾向」
「『なんとか食べてもらいたい』と希望があって、無理な食事介助でご本人が苦しそうなのを見て、スタッフが心を痛めている」
「食事しない、介助でも難しいと説明しても、電話だと家族は元気な時のままの印象で対応されてしまう」
「食事をとめたり、点滴を止めるとすごく楽そうなのを見るとそうしてあげたい」
「終末期~死亡後はケアのみならず次の入所者の調査で業務多忙でデスカンファしたいのに落ち着いて振り返りができない」
などの語りがありました。

いくつか感想・質疑でやり取りしつつ、いろいろ感じることが気づくことがありました。

今後施設での看取りが増加する中、
・入所時の事前指示は可能か?
・そもそも週一回の回診で施設ケアしきれるのか(実際、電話やFax対応、往診も多い)
・treatableなものの除外と老衰という診断の見極め 
・疎遠な家族との(電話や面会での)情報共有と決断の共有は? 
・急性期から終末期へのギアチェンジはどうあるか?どうするか?
・スタッフとのケアの振り返り、デスカンファの開催は?
等を宿題に感じました。

非がんの終末期ケアは北海道では地域の19床の有床診療所(時々施設)で経験していたことですが、あざいでは老人ホームとして経験していて、また違った難しさとやりがいを感じています。